個人事業主(自分で事業を始める)になると確定申告を自分で行わなければなりません。
なかには税理士さんにお願いしている人もいると思いますが。
起業して自分で会計をするようになった人と話をしていると、「パソコンは詳しくないし、会計の知識もない。しかも日々の業務をしながら経理のことをやるのはしんどい。」とよく耳にします。
わたしもそうです。パソコン操作には詳しいのですが、会計や税金のことになるとさっぱり。
減価償却費? 勘定項目? 青色申告?ってレベルです。
でも個人事業主になると経理も業務のひとつになるので、本業ではない雑務はなるべく減らしたいですよね。
ということで、会計やパソコンの知識がなくても簡単に日々の経理処理や確定申告ができる、個人事業主へおすすめの会計ソフトを紹介します。
- どの会計ソフトを選んでいいか分からない
- エクセルで帳簿付けしている
- 数年前の会計ソフトを使っている
- サクッと確定申告を終わらせたい
という人は参考にしてください。
個人事業主の会計ソフトは青色申告ができるものがおすすめ
まず個人事業主として事業所得がある人が確定申告をする場合、青色申告と白色申告の2種類があります。
どうせ確定申告をするなら青色申告をおすすめするので、会計ソフトを選ぶ場合は青色申告に対応したものを選びましょう。
なぜ青色申告をおすすめするのか? その理由は白色申告にはない以下のメリットがあるからです。
青色申告と白色申告の違い
青色申告は複式簿記で帳簿をつけることが義務付けられているため、白色申告と比べて手間がかかります。
しかし青色申告には手間がかかる分、白色申告にはない以下の特徴があります。
65万円の特別控除、10万円控除が受けられる
65万円の特別控除とは、売り上げから65万円を経費として差し引くことができるものです。
例えば、売り上げが300万円で経費が100万円だったら利益は200万円になり、この200万円に対して税金がかかってきます。
ここで65万円の控除を受けた場合、税金がかかる対象が利益の200万円からさらに65万円を引いた135万円になります。実際の利益は200万円だけど、税金は135万円にかかる分だけでOKというわけです。
個人事業主にとって65万円分も経費として差し引けるのは大きなメリットといえます。
ちなみに、取引の記録が簡易簿記による場合には10万円の特別控除もありますが、どうせ会計ソフトで記帳するなら少しの手間が増えても10万円よりも65万円を控除したほうがいいのでそちらをおすすめします。
赤字を3年間繰り越すことができる
個人事業主になって初年度から売り上げが見込めるならいいですが、事業が軌道に乗るまで時間がかかることも多いはず。
例えば、白色申告で1年目が100万円の赤字、2年目も100万円の赤字、3年目が200万円の黒字だった場合、翌年の確定申告は黒字の200万円に対して税金を支払わなければなりません。
ですが、青色申告であれば赤字を3年間繰り越すことができるので、1年目に100万円の赤字、2年目に100万円の赤字、3年目に200万円の黒字の場合、過去2年間の赤字を繰り越して、翌年の確定申告は200万円-赤字の200万円で事業所得0円で申告できます。
家族を雇った場合、給与が全額必要経費になる
個人事業主で家族を社員として雇い、給料を支払う場合は全額経費にできます。
つまり売り上げから支払った給与を引けるので、最終的に支払う税金を減らせるというわけですね。
30万円未満の減価償却資産は一括経費にできる
白色申告の場合、一括で減価償却できるのは10万円以下の資産に限られています。
例えば、30万円の調理器具を購入した場合、5年でその物の価値がなくなるとして、30万円÷5年で毎年6万円づつしか経費計上できません。
ですが、青色申告であれば30万円未満まで経費として一括で売り上げから引けるので、その年に支払う税金を減らすことができます。
自宅をオフィスにすると家賃や電気代の一部を経費にできる
エンジニアやWebデザイナー、ライターなど自宅で仕事をする個人事業主の場合、家の家賃や電気代も経費として計上できます。
もちろん自宅は仕事以外のプライベート空間としても利用するので、すべてを経費計上はできませんが、作業スペースが部屋の何割だから経費は何割みたいな感じで引くことができます。
まとめると、青色申告は経費として計上できるものが多くなるため、白色申告よりも支払う税金を減らせるメリットがあります。
ですので、個人事業主には白色ではなく青色申告できる会計ソフトをおすすめします。
無料で使える会計ソフトはおすすめしません
会計ソフトには無料で使えるものもありますが、個人的にはおすすめしません。
なぜなら機能制限があったり、いつサービスが終了するかわからないからです。
やはりしっかりと事業を伸ばしていく気があるのなら、会計ソフトはケチらずサポートや機能がしっかりしたものを選ぶべきだと思います。
あとから会計ソフトを乗り換えるのも手間ですし、最初からしっかりとしたもの使いましょう。
会計ソフトにはインストール型とクラウド型がある
個人事業主の会計ソフトは青色申告ができるもの、かつ安心できるものがおすすめと説明しましたが、さらに細かくいうとインストール型とクラウド型の2種類があります。
インストール型は、会計ソフトをパソコンにインストールして使用する買い切りタイプ。インターネットにつながっていなくてもOK。
クラウド型は、インターネット接続したパソコンから会計ソフトを利用する。毎月課金タイプ。
それぞれにメリットデメリットがあるので機能等を比較した表をご覧ください。
比較項目 | インストール型 | クラウド型 |
支払い | ソフト買い切り | 毎月課金 |
対応OS | Windows対応のみが多い | WindowsもMac、スマホも対応 |
使用できるデバイス | ソフトをインストールしたPCのみ | インターネットに接続したPC、スマホ、タブレットであればOK |
データの保存先 | インストールしたパソコン | クラウド(サービス会社が厳重に管理) |
税制変更の対応など | 買いなおす必要がある | 何もしなくてOK |
メリット | ネットにつながっていなくても使える | PCが故障してもデータはクラウドなので安心 |
デメリット | パソコンが壊れたらデータがなくなる | ネットにつながっていないと使えない |
会計ソフトはインストール型とクラウド型どちらがおすすめ?
特徴を見ていただくとわかりますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
ですが、個人的にはクラウド型をおすすめします。
まずインストール型はそのパソコンでしか使えず、きちんとデータのバックアップを取っておかないと故障した場合、すべて入力しなおさなければならないデメリットがあるからです。
また消費税増税など税制が変わったらソフトを買いなおさないと対応できないので、ソフトのバージョンアップなどある程度パソコンの知識が必要となります。
いっぽうクラウド型は毎月課金ではありますが、ソフトは常に税制対応した最新のものを使えますし、パソコンが故障してもデータはそのサービス会社のサーバーにあるので心配はいりません。
またネットにつながってさえいればどのデバイス(PC、タブレット、スマホ)でも使えるのもメリットですね。隙間時間にスマホで入力なんてこともできます。
もし税理士さんにお願いする場合も、事務所に来てもらったりパソコンを持っていく必要がなく、税理士さんのパソコンからクラウド会計にログインしてもらえれば作業できます。
それとネット接続という点でネットバンキング対応の口座やクレジットカードと連携できるため、入出金を自動で行えるので作業の手間を大幅に減らすことができるのもメリットですね。
個人事業主におすすめのクラウド会計ソフト
というわけで、青色申告ができるクラウド会計ソフトのおすすめを紹介します。
おすすめNo.1:freee
個人事業主のおすすめのクラウド会計ソフト第1位はfreee(フリー)です。わたしもこれを使っています。
freeeの特徴はなんといっても会計の知識がなくても入力しやすいということ。
商業高校で簿記をやったことがある、経理の経験がある人なら迷うことないかもしれませんが、素人からしたら勘定科目や税区分とかわからないことがたくさん出ててくると拒否反応を起こすんですよね。
でもfreeeは初心者でもわかりやすいように説明もついているし、勘定科目の自動提案はしてくれるので内容に間違いがないか確認したら「登録」ボタンを押すだけで仕訳ができます。
またネットバンキングに対応した銀行口座やクレジットカードを登録すると、自動で残高や入出金などを取得してくれるので手入力の手間が省けます。ちなみにペイパルを使っている人は連携もできるので安心。
そして何より面倒な確定申告は、e-taxとも連携しており、質問に答えるだけで提出できる状態になるのでほんと楽です。質問形式で申告書を作成できるのは、日本ではfreeeだけ。
確定申告用でとっておいたレシートや領収書もスマホアプリで写真を撮れるだけで、AIが解析して自動で経費など入力してくれます。これかなり便利です。
あと見積書や納品書、請求書の作成も簡単にできるので、そういったものを提出をする個人事業主にはおすすめですね。
またITやWeb系のフリーランスはもちろん、電子マネーやPOSレジと連携もできるため、飲食店や雑貨など店舗経営をされている個人事業主にもおすすめです。
30日間は無料で使えるため、まずは使い勝手を試してみてください。
おすすめNo.2:マネーフォワードクラウド会計
freeeと並んでよく目にするのがマネーフォワードクラウド会計です。
こちらも有名な会計ソフトですね。freeeとの大きな違いは簿記の知識をベースとしたソフトになっていること。
なので、経理や簿記の知識がある程度ある人ならマネーフォワードクラウドのほうが操作しやすいでしょう。
こちらも電子マネーやPOSレジと連携もできるため、飲食店や雑貨など店舗経営をされている個人事業主にもおすすめです。
個人事業主で税理士さんにお願いする人は少ないかもしれませんが、マネーフォワードクラウドは全国の士業事務所と提携しているので、確定申告や経理を外注している人はお願いしやすいという点もメリットです。
また給与や社会保険、勤怠、マイナンバーなど他にはない機能がそろっています。こういった機能も使いたい人にはおすすめです。
おすすめNo.3:弥生会計シリーズ
インストール型の会計ソフトしても有名な弥生会計です。
こちらも老舗のサービスだけあって確定申告等に必要な作業を簡単に行うことができます。
ただこちらはfreeeとは違って会計の知識がない人には勘定科目が選びにくいという印象です。またサポートがホームページのQ&Aのみなので、ある程度、会計の知識やパソコンの知識がある人向きかなと。
それと見積もりや請求書発行が必要な場合、別ソフトが必要なためそうった業務が発生する人には少し面倒かもしれません。
ただ会計業務だけであれば価格は安いので、検討する価値は十分にあるでしょう。
1年間無料で使えますし、その後の料金も他と比べて安いです。
まとめ | 会計ソフトの比較表あり
個人事業主になると日々の業務に加えて経理も自分でやらなくてはなりません。
また少しでも節税して売り上げを確保するには、白色ではなく青色申告がいいですね。
確定申告の期限ぎりぎりになって焦らないためにも、なるべく手間を減らして効率よく会計業務するにはクラウド会計ソフトがおすすめです。
紹介したクラウド会計ソフトにはそれぞれ特徴がありますが、会計の知識がないならfreee、ある程度知っている人ならマネーフォワードクラウドか弥生が使いやすいと思います。
いずれも無料体験できますので、お試しで使ってみるといいでしょう。
会計は重要ですが、入力作業に時間を取られて本業がおろそかになっては本末転倒です。
ぜひ効率よく経理ができ、そしてお得に確定申告ができるクラウド会計を利用してみてください。
比較表に記載のプランは一番安いプランを記載しています。
freee | マネーフォワード | 弥生会計 | |
料金 | 11,760円/年 | 11,760円/年 | 8,000円/年 |
サポート | メール・チャット | メール・チャット | WebでQ&A集を見る |
機能 | 銀行連携 スマホアプリ ファイル保存(月5枚まで) 確定申告書作成 損益・現預金レポート 見積書 納品書 請求書 発注書 | 銀行連携 スマホアプリ 確定申告書作成 各種レポート 請求書 経費 給与 マイナンバー管理 | 銀行連携 スマホアプリ 確定申告書作成 各種レポート |
無料体験 | 30日間 | 1か月間 | 1年間 |
おすすめの人 | コストを抑えたい、会計の知識がない人 | 一番機能が多い。他にない機能(給与管理など)を使いたい人 | メール・チャットサポートがないのでの会計やPCに詳しい人 |
公式サイト | freee | マネーフォワードクラウド | 弥生の青色申告 |